はじめに
前回はコード・ネームとモードの関連性からモードに隠れているテンションノートの存在について学んだ。今回は学んだ内容を踏まえ、一つのコードで各モードを表現する方法について学んでいく。
必要最小限の音でモードを確定するコード
モードにコードは必要ではないが、コードを使用することもできる。コード感があると、モードではなくなるというわけではない。
例えば、Dドリアン・スケールのダイアトニックコードを作ってみる。
Dm7で始まっていること以外、キーCのダイアトニック・コードと同じである。
ここで調性音楽のシステムをモードに持ち込んではいけない。
ドリアン・スケールでダイアトニック・コードを作る意味はない。モードを構成するスケール音の組み合わせでハーモニーを表現する。それは必ずしもコード・ネームが付くものでなくても構わなく、そのようなアプローチで一部を切り取って聴いたときに、そのモードの響きが完全に表現できているとは限らない。
例えば4小節間に一度も特性音が鳴っていないことも起こり得る。
そこで、1つのコードにモードの特性音と、そのモードを決定づける3度やテンションを加えたコードを使うという方法がある。
マイナー・モード | ||||||||
ドリアン・スケール | R | 9 | ♭3 | 11 | 5 | 13 | ♭7 | □m7(13) |
フリジアン・スケール | R | ♭9 | ♭3 | 11 | 5 | ♭13 | ♭7 | □m7(♭9) |
エオリアン・スケール | R | 9 | ♭3 | 11 | 5 | ♭13 | ♭7 | □m7(♭13) |
ロクリアン・スケール | R | ♭9 | ♭3 | 11 | ♭5 | ♭13 | ♭7 | □m7(♭9,♭5) |
メジャー・モード | ||||||||
アイオニアン・スケール | R | 9 | 3 | 11 | 5 | 13 | 7 | □maj7(11) |
リディアン・スケール | R | 9 | 3 | #11 | 5 | 13 | 7 | □maj7(#11) |
ミクソリディアン・スケール | R | 9 | 3 | 11 | 5 | 13 | ♭7 | □7 |
青字=ベースとなるコード 赤字=特性音
マイナー・モードのドリアン、フリジアン、エオリアンスケールは□m7、ロクリアン・スケールは□m7(♭5)、アイオニアン、リディアンのスケールはメジャー7thコードを含んでいるので、これがベースとなる。
そこに特性音を加えると、そのモードでしか生まれない固有のコードになる。
ミクソリディアン・スケールはちょっと扱いが違い、このスケールに含まれる7thコード(ドミナント・コード)というベーシックなコードだけで、一応モードを確定する響きを生み出すことができる。
終わりに
今回は1つのコードに特性音と、そのモードを決定づける3度やテンションを加えたコードを使う方法でモードらしい響きを生み出すことができることを学んだ。今回は単体のコードのみでの理解だったが、次回はコード進行でモードを表現する方法について学んでいく。
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